プロジェクト管理で絶対におさえるべき3つの管理
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- 発売日: 2014/05/30
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図解 これ以上やさしく書けない プロジェクトマネジメントのトリセツ (Panda Publishing)
- 作者:西村克己
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プロジェクトを管理する立場になったとき、あなたは何を管理しますか?プロジェクト・マネージャーやチームリーダーなど、役割によって管理することや範囲は違ってきます。
また、PMBOK第6版では5個のプロセス群と0個の知識エリア、そして49個のプロセスが定義されており、とてもとても多すぎです。PMBOKの資格試験(PMP)のために勉強をしても全部を覚えきれないし、満点をとることもできないので、全てを理解してパーフェクトに使いこなすことは、ほぼ不可能でしょう。
ですが、これだけは押さえておこう、これだけはしっかりと管理しておこうというものがあります。何でしょうか?
それは、
* 計画策定
* 進捗管理
* 課題管理
の3つです。
この3つをきちんとマネジメントしておけば、ひどいトラブルには陥らないと思っています。 逆に、トラブルプロジェクトに火消しで入るときは、この3つをしっかりするようにしています。それは理由が2つあります。ひとつは、トラブっているときは、だいたいこの3つの管理がずさんになっているということ。もうひとつは、トラブル火消しのときは、時間も工数も足りない状況なので、多くの管理をせずに選択と集中をすべきであるから、です。
なぜこの3つであるかを説明します。 まず、計画がないことにはプロジェクトメンバーの統制を図ることができないので、プロジェクトの計画をきちんと立てることは必須です。 そして、計画通りに進んでいるかの進捗を確認する。予定通り進んでいれば問題はありませんが、プロジェクトというものは必ずいろいろなことが発生します。作業が遅れてしまったり、予期していなかったことが発生して、その影響でスケジュールとコストにインパクトがでたり、と。 そのような突発的なことを管理するのが課題管理です。これをしっかりと行っていれば、想定外のことがおきても対応していくことができます。
このような基本的なことは当たり前にやっているよ、と思われるかもしれません。おそらくそうだと思います。ですが、重要なポイントがあります。それは、「きちんと、しっかりと管理する」ことです。 これが意外と難しく、できていないプロジェクトが多いものです。
計画策定のポイント
計画を立てるときは、大きなレベルのマスタースケジュールとWBSを使うことが多いです。
マスタースケジュールは、「マスター」という名前が付いているほどで、プロジェクト全体で必ず実行しなければいけないスケジュールです。作成されることは多いですが、プロジェクトが始まった以降は形骸化していたり、チームリーダーがこれに準拠しないチームスケジュールを立てたりすることがあります。こうなってしまうと、マスタースケジュールの意味がなくなってしまいます。
マスタースケジュールは、常にプロジェクト全体が参照すべきスケジュールとして最新状態になっていること。一方で、簡単にはスケジュール変更をしてはいけないので、マスタースケジュールレベルの変更をかけるときは、ステコミレベルの会議体で承認を行う、などといったプロセスも決めておく必要があります。
次にWBSです。
プロジェクトのチームリーダーや担当メンバーは、このWBSに沿って仕事をしていきます。このWBSの精度と粒度がポイントです。作業タスクが、すごく大きなタスクを表していて、作業期間も2週間や3週間で予定されている、といったWBSを見ることがよくあります。タスクの担当者が未記入であったり複数人の名前が書かれていることもあります。
このようなWBSは計画が甘いWBSということになり、プロジェクトスタート時点で、プロジェクトがうまくいかない、ということを既に示しているようなものです。
進捗管理のポイント
計画を緻密に立てたとしたら、次のポイントは進捗管理です。計画の精度がいくら高かったとしても、進捗管理が疎かになっていると、これもまたトラブルへの直行となります。計画に対して、予定通りの作業ができているか、きちんと把握できているかが重要で、また、遅れが発生したときに適切にマネジメントできているかも大切です。
進捗管理で陥りがちなダメパターンを紹介します。
作業実績の更新ルールがあいまい、もしくはない、といった場合、いつ見ても実績が正しく集計できずにプロジェクト状況を把握することができなくなります。できれば日次で、長くても週次で必ずすべての作業実績を入力するようにしましょう。
もうひとつは、遅延が発生したときの対処です。遅延した理由とそれをどう、いつまでに解消するか、キャッチアップするか、ということを明確にしないことです。「作業が遅れてます」という報告に対して、「仕方ないね、もう遅れないようにしてね」というのは進捗管理としては愚の骨頂です。遅延拡大の道を歩み始めている兆候です。
課題管理のポイント
プロジェクトには課題発生がつきものです。課題のないプロジェクトなんてありません。ですので、ここをしっかりとマネジメントしておくことが3つ目の重要なポイントです。
しっかりとした課題管理のポイントは、
- 担当者を明確にする
- 期限を切る
- 課題表の記載内容を具体的に書く
です。
担当者が未記入や複数の名前が書かれていたり、期限が設定されていないケースを実に本当に散見します。このような課題管理は、課題が解決されないまま放置される典型のパターンです。また読んでもよくわからない課題表は、あとで「何が課題だっけ?何すればいいんだっけ?」となってしまいます。
この3つを「しっかりときちん」と管理しておけば、プロジェクトは大ゴケをすることはありません。これは経験上、断言できます。ですが、「しっかりときちんと管理する」というところがポイントで、とても地味な作業で、気をつけていないと手を抜いてしまい、すぐにずさんな管理状態になってしまいます。
それはなぜかというと、プロジェクトメンバーからすると、本質的な作業に見えず、かつ面倒くさいからです。そして、経験の浅いリーダーなどは、そういったメンバーに対して、きちんと管理情報を入力させる、といったことができないからです。メンバーからの不平不満に屈してしまい、管理を甘い状態にしてしまうのです。
プロジェクトマネージャーを目指す人は多くいますが、プロジェクトマネージャーの仕事は案外と地味で泥臭く、地道なことが多かったりするものです。 プロジェクトを成功に導くためには、この3つの管理は愚直に地道に実行していきましょう。
参考図書
- 作者:山口周
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