分割損という考え方 ~仕事はどう切っても損が生まれる
大きな仕事など、複数の人で仕事をするときには役割分担をすることが多くあります。
仕事を複数に分割して役割分担をするときには、「分割損」というものが生まれます。
今回は、XYZという「モノ」を作る仕事をイメージして書いてみたいと思います。論点をシンプルにするために、このXYZを作る作業プロセスを5つとして、これを5個つくることとします。
ひとりで全部やる
ひとりでこの仕事を全部やるなら、5つのプロセスを全て学び、5個を全部自分で作ります。 この場合、誰にも引き継ぐこともなく全てをひとりでやりきってしまいます。
ですが、実際の仕事ではプロセスがたくさんあったり、量が多かったり、役割分担やらで仕事を分割していきます。
タテに切ってみる
図のように、プロセスごとに仕事を役割分担します。 Aさんは、ずっとプロセス1という感じです。
このように分割すると、AさんからBさんへの仕事の引き渡し、引き継ぎが発生します。
この作業が分割損を生じます。
引き継ぎミスなどがそれにあたります。
工場などの大きな流れ作業の現場では、引き継ぎも手順化されていて引き継ぎミスなどはほとんどない、と言われるかもしれませんが、ミスはないとしてもそこまでの手順化にかけた時間とコストがあります。
いずれにせよ、プロセスを経る際に作業をする人が変わるということは、何かしらの損を生むのです。
ヨコに切ってみる
その考え方は仕事をヨコにきっても同じです。
ひとりの人が全てのプロセスを習得するには時間とカネがかかります。
そして、人ごとのバラツキが製品ごとの品質レベルに生まれます。生産性にもバラツキが生じます。
タテに切っても、ヨコに切っても損は生まれる
このように仕事を分割すると「分割損」というものが生じます。
ただ、ここで言いたいのは、「分割損が悪である」ということではありません。 仕事をする上で役割分担は必要です。
大きな仕事、多くの量を作る仕事になればなるほど役割分担は必要となります。
そして、その時にどういう仕事の切り方をすればより良いのかを考えることが必要だと思います。
どの切り口で切っても、それぞれメリデメがあります。それを理解した上で判断するといいと思います。
モチベーションやスキルアップも考慮しておく
仕事を分割して、人を役割にはめ込むと組織マネジメント的には品質と生産性は安定していきます。
ですが、実際にやる人は人間です。個人の裁量や特徴が出せない仕事になればモチベーションも下がって方ます。
ローテーションやスキルアップも考慮しておいた方がいいです。
細かく切りすぎないほうがいい
仕事を切れば損が生まれます。 ということは、細かく切れば切るほど分割損が生まれてしまいます。
仕事を綺麗に整理して分けようとすると、細かくし過ぎてしまうケースに陥りがちです。
効率化と思った分割損のバランスを考えて判断しましょう。
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