成果を出すひとは「なに」を見ているか?
ビジネスにおいて大きな成果を上げる人と、限られた成果しか上げられない人、どこに違いがあるのでしょう。
もちろんいろんな要素で差がついてしまいますが、今回は「ものの見方」について書いてみたいと思います。
成果を出すひとは「もの」の見方が違う
例えば、あなたが何かシステムを作るというプロジェクトに携わっているとしましょう。
- カネ
- 納期/スケジュール
- 品質
という、少なくとも3つの「視点」から、プロジェクトをコントロールしていかなくてはなりません。
時にはトラブルが発生し、早急な対応が求められることもあるでしょう。そんなとき、「視野」が狭ければ小さなトラブルにばかり気を取られ、全体の大きな問題を見過ごしてしまうかもしれません。
また、やっとの思いで対応策を講じ、あなたが報告書をまとめあげたとして、それを見た上司はすぐに首を縦に振ってくれるでしょうか?違う立場の人間がどのような「視座」でものを言ってくるのかを想像できなければ、この難関をスムーズに突破することは難しいでしょう。
そうです。ビジネスで成果を出すひととは、「視点」「視野」「視座」の3つの眼でものごとを見ることができる人なのです。
視点を変えて見る
視点とは、「何の、どこを見ているか」です。
どれだけ視点を変えながら仕事をするかで成果は変わってきます。
同じ風景の写真を前にしたとしても、人によって目が行くところや印象に残るところは違います。また、時間をおいて何回か見るとまた違ったところに目が行くかもしれません。同じものを見ていても、見ている箇所と見え方が違うのです。
例えば、『台風で飛行機が欠航となる』というこの時期にありがちな事象について、いろいろな視点を書き出してみましょう。仮に、羽田発・沖縄行きの飛行機とします。
- 旅行者は、沖縄で予約していたホテルに連絡しなければいけない
- オプショナルツアーを予約していたなら、それもキャンセルしなければいけない
- 沖縄へ出張予定だった人は、訪問先のお客様へ欠航となった旨を連絡し、リスケしないといけない
- 沖縄のホテル側は、来られなかったお客様のキャンセル処理とキャンセル料の調整をしないといけない
- 航空会社は、欠航に対するクレーム処理をしなければならない
- 航空会社は、欠航に対する振替え便の調整をしなければいけない
- 空港は、欠航によって離発着飛行機の予定が変わったので、空港内の飛行機の駐機場を調整しないといけない
- 羽田付近のホテルは、急遽宿泊する人の対応をしなければいけない
- 沖縄の彼女に会いに行く予定だった人は、彼女に電話して状況を伝えないといけない
などなど、これはごく一部ですが『台風で飛行機が欠航した』という事象を題材にしてもいろんな視点があります。
視野を広げて見る
視野とは、「どの範囲でものを見るか」ということです。
どこにフォーカスをあてるか、と言い換えてもいいでしょう。
また、一週間先、半年先、一年先というような時間的な範囲も視野と言えます。
サッカーで視野の広い選手が高い評価を受けるように、ビジネスの世界でも優秀な人は視野が広いです。もちろん、技術を突き詰めているスペシャリスト系の人でそうでない場合もあります。しかし、視野が狭いと狭いなりのマネジメントしか出来ませんから、リーダー・組織を率いる人は特に視野が広くないといけません。
では、視野が狭いとどういった問題に陥るのでしょうか?
視野が狭い人の多くは、些末な問題に力を注ぎすぎ、もっと取り組むべき大きな問題に気づいていません。だから、結果として成果が出ないということになります。残念なことに、こういうことはビジネスの場ではよく見かけます。
実は、視野は「木を見て、森を見ず」という言葉で表現されたりします。
このように言われるときは、たいてい前向きな評価ではありません。
視野が狭いと些末な目先の対応にばかり時間を費やして、本来手がけないといけない大きなものが疎かになってしまうのです。
些末な問題にとらわれている自分がいかに忙しくて大変であるかをアピールしても、まわりから見ると空回りしているだけですから、評価はもちろん同情すらもらえません。こうなってしまう人は、常にそういう感じだと思います。これがその人の行動様式・思考様式になってしまっているからです。
大きな成果を上げるには、まずその行動様式・思考様式から脱却しなければいけません。
異なる視座から見る
視座とは、「どの立場、どの場所から見るのか」ということです。
サッカーで例えてみましょう。同じサッカーボールを見ているにしても、
- 観客としてスタンドから見る
- プレーヤーとしてグランドの中で見る
- フォワードは自分が打ったシュートがゴールに向かうのを見る
- キーパーは打たれたシュートが向かってくるのを見る
- 監督としてピッチサイドから見る
など、いろいろな立場・場所からの見方がありますね。
ビジネスにおいては、組織における立場がおもな視座となります。
ビジネスの世界では、この視座の違いによっていろんな人がいろんなことを言ってくるものです。
同じ社内でも作業担当者の立場や上位マネジメントの立場では意見が異なりますし、お客さんの立場からだとさらに異なる意見になります。 だからこそ、相手の視座に自分を疑似的に置いたり、さまざまな視座に自分を置くことで、様々な観点からものを考えることができます。
そもそも、なぜ視座の違いで意見が変わるのでしょうか?
それは、あなたと上司では責任の範囲が違うからです。
その上司にとってはあなたの報告よりももっと優先すべき問題があるのかもしれません。他にもっと大きなトラブルを抱えていて、そちらにカネとヒトを回さないといけないこともあります。
誰しも自分は自分の責任を全うしなければいけません。
その責任によって戦いや軋轢が生じるのです。
意見が合わないことに対して戦うことは、それは別にいいと思っています。社内といえども戦いがあるのは必然です。プロとして自分の仕事を全うしようとしている証なのです。
しかし、視座をコントロールするスキルが上がると、上位マネジメントへの提案、報告のスキルも上がります。上位マネジメントが何を考えているか、何を言ってくるかを想定して話や資料を組み立てることができるようになるからです。
言われること、指摘されることを想定して論理展開をしておけば承認を取りやすくなりますし、完全にOKとはならなくても条件付きで承認が取れるようになります。
何よりも、却下となって承認取りにもう一度挑戦するとなると体力と時間がかかります。その時間をかけないということも大切です。
見方を変えるトレーニング
視点を変えるトレーニングは、身の回りで気軽にできます。
電車の中の吊り広告、テレビや新聞などのニュース、なんでもかまいません。目に付いたものを題材にいろんな視点で見つめなおしてみてください。これはちょっとした時間でできますので、トレーニングにはもってこいですね。
視野を広くするコツは、まず『全体の事象は何なのか?』という質問を自分自身に投げかけてみましょう。
例えば、前述した『台風で飛行機が欠航となる』という事象ですが、ざっと挙げるだけでこのような視野があります。
- 今日、欠航したのは1年のうちのたかだか1日。たいした問題ではない。
- 日本の空港で欠航したのは羽田発着の沖縄便だけ。大きな問題ではない。
- 今日どうしても沖縄に行かなければならなかった人にとっては唯一の日。大きな問題。
- 夏休みで沖縄に行こうとしていた人にとっては、1年の中の唯一の夏休み。非常に残念。
このように多くの視野があることに気が付きます。
どこにフォーカスを当てるか、なのです。視野を変えると同じ事象でも違った捉え方をすることができます。
視座を変えてみるのは、視点や視野に比べると少しイメージがつきずらいかもしれません。
特にあなたが若手の社員であればあるほど、会社の上層にいる人が何をやっていて、何を考えているかわからないでしょう。経営層の視座を妄想するにしたって、何かヒントは必要ですよね。
そんな人には『経営を見る眼』がおすすめです。若手が会社経営を学ぶエントリー本としては読みやすく、理解しやすいです。
- 作者: 伊丹敬之
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視点・視野・視座の違い
人によって視点と視野は違います。そしてその違いは、その人の視座から来ていたりします。この3つはどれも密接に絡み合っています。
例えば、通勤風景の話なんてわかりやすいかもしれません。
私は以前、お台場に通勤していました。お台場は知っての通りフジテレビや、レインボーブリッジ、ヴィーナスフォート、観覧車などがある超観光地です。お台場はそのような場所でわけで、私は観光客に紛れて通勤していました。
朝、東京テレポート駅で電車を降り、オフィスまで歩きます。
- 駅を出てからオフィスに向かう途中は、フジテレビ社屋が目に入ってきます。
- 帰りは、東京テレポート駅に向かうと、ライトアップされた綺麗な観覧車が目に入ってきます。
目に入ってくる、とあえて表現しました。
そうなのです。私の視界には入ってきますが、特にそこにフォーカスがあたっているわけではありません。私が見ているのは手元の腕時計と目の前の人の流れです。乗ろうと思っている電車に間に合うかと時計を見て、そして綺麗な夜景に見入って足を止めている人の間を縫って歩いています。
一方で、お台場に観光に来ている人たちは違います。
ライトアップで装飾された観覧車に見入り、それを背景に写真を撮ったりしています。彼らは駅とか時計とかは気にしていません。
最初に言った通り、その人の視座によって視点も視野も異なるからです。
仕事をする中で、自分と感覚の合わない意見に出くわすことは多々あるでしょう。
そんな時は、相手の視点・視野・視座を妄想してシュミレーションしてみましょう。きっと今まで自分が見えていなかったものが見えるはずです。
そんなあなたの視界の広がりが、成果に直結します。
ひとつの事象をひとつの視点、狭い視野や見解でしか見ることのできない人が出す結果はおのずと限定的となります。
視点・視野・視座のビジネスに必要な3つの眼を鍛えることで、ビジネスをより多面的に見ることができるようになります。
「考えて仕事をする」からこそ最小の労力で最大の成果が得られる
なぜ考えて仕事ができないのか
「考えて仕事をしろ」「もっと考えろ」と言われたことがある人は多いと思います。私も昔は言われたことがあります。ですが、そうは言われても「もっと考えろと言われても何をどう考えればいいの?」と思っていました。
ですが、自分の周りを見ると「頭の回転が速い」人がいます。難しい問題でもすぐに解決策を打ち出したり、なんでそんなことまで考えが及んでいるのだろう、と思うような先輩がいたりします。いわゆる、優秀な人達です。
そのような人を見て、ほとんどの人は「あの人は優秀だから」「あの人とは頭の作りが違うから」自分には真似できない、と思っています。確かに天才的に頭が回転する人はいますが、そのような人はごくひと握りです。
優秀な人たちと普通の人たちの、いわゆる頭の良さの差はほとんどないと思っています。いわゆる頭の良さで仕事の優劣が決まるのであれば、仕事ができるできないは偏差値順にならぶはずです。ですが、そうではありません。
私がここで、「いわゆる頭の良さ」と表現しているのは、中学・高校の勉強、大学受験での偏差値による頭の良さを指しています。大学受験までは、テストで高得点を取ることが「頭がいい」ということになります。
日本の教育は偏差値で順番が決められて、入った大学によってランク付けされ、それが社会に出た後にまでついてまわります。なので、高校での勉強、受験を経ての大学入学時点で勝ち組だの負け組だのと言う話になってしまいます。
そして入社した会社がどこだ、ということでまたさらに勝ち組だの負け組だのと言います。
20歳そこらで社会に出て、その倍の40年間も仕事をしていくのに、1年目から勝ち負けが決まるのでしょうか?
偏差値教育の結果を社会に出た後にまで引きずっているので、「自分はこんなもんだ」「◯◯大学のやつにはかなわないんだ」と思っている人が多いのが実情と思います。
そうではありません。ビジネスの世界はビジネスの世界です。テストで良い点数を取るのと仕事で成果を出すのは同義ではありません。
なぜ考えて仕事をすることが重要なのか
『6時間で木を切れ、と言われたら、最初の4時間は斧を研ぐ時間に費やす。』
これは、第16代アメリカ大統領のエイブラハム・リンカーンの言葉です。
この「斧を研ぐ」という意味は単に物理的に斧を研ぐということではなく、仕事に取り掛かる前には、しっかりと周到な準備をしてから取り掛かろう、という意味だと解釈しています。今の仕事だと、「効率化につながるアプリを導入する」とか「しっかり考えて作戦を決める」ということになります。
この考えるという行為がとても重要です。
目の前にある100本の木を切るとします。物理的に斧を研いで切れ味を上げておくのはもちろんのこと、この100本の木をどのように切っていったら最も効率的に速く確実に切ることができるか、ということを考えてから木を切る作業に取り掛かるべきです。考えることが大きな成果を生み出すことにつながります。
何も考えずに木を切り始めると、1本の木を切る時間 ☓ 100本 の時間がかかります。さらに、疲労することを考えると更に時間がかかることが想定されます。
例えば、この100本の木を木の配置から10個のロットに分けて、木に切り込みを入れて上にある木を切って倒し、その下の木は、その倒れてきた木の力で倒します。そうすると時間と労力が削減されます。
これが戦略です。
1本の木を切る力を1とします。100本の木をすべて1の力で切ると100の力が必要です。
先ほどの作戦で木を切るとき、木に切り込みをいれる力を0.6とします。そして一番上の木だけ1の力で切ります。ひとつのロットは0.6☓9本+1=5.4+1=6.4です。これが10ロットあるので全部で64の力で100本の木を切ることができます。100の力と64の力です。差は36(%)です。
いい戦略を考えられるほど効果は大きいです。ですが、効果の高い戦略を考えるのに時間がかかりすぎては意味がありません。考えている間に100本の木を切ってしまった方が速い、となってはいけません。
深く考え、それを速く考えないといけないのです。
仕事で成果を出せるかどうかは、「いかに深く考えるか」、そしてそれを「いかに速く考えられるか」です。
2軸思考 〜2冊目の出版のお知らせ
構想着手から1年超、「2軸思考」の出版のお知らせです。
- 作者: 木部智之
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/12/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
12/1あたりに書店の店頭に並ぶ予定です。
今回の本のテーマは、ロジカルシンキングを私たちの仕事で実践すること、です。
ロジカルシンキングの本やセミナーで学ぶと、3C、PPMなどといった有名なフレームワークがインプットされますが、これらのフレームワークは私たちの仕事で役に立つことはほとんどありません。
なぜなら、このような有名なフレームワークは、世界的に有名なコンサルティングファームや経営者が産み出したもので、経営改革やマーケティングに使うようなフレームワークばかりです。
でも、そのような仕事についている人はごくわずかです。私自身もシステム開発の仕事に長年従事してきたので、このようなマーケティング用のフレームワークはほとんど使ったことはありません。
ですが、ロジカルシンキングの本質はフレームワークを覚えて使うことではなく、自分でフレームワークを作って自分の仕事の問題解決をすることです。
そのような状況で、自由自在にフレームワークを作る方法を書きしたためたのがこの本です。
線を2本引くことで、目の前の雑多な混乱した状況が整理される。
その方法、アプローチを書いています。
実際に、このアプローチを実践していただけるとお役に立てると思います。
はじめに、に書いていることを抜粋しました。
15年間のトラブルプロジェクト経験から学んだ2つの本質
私はIBMに新卒で入社以来15年間、主にシステム開発のプロジェクトにかかわっ てきました。そして、その多くは自ら希望して「超困難なプロジェクト」ばかりを担 当してきました。
入社3年目で初めてプロジェクトマネジャーに抜擢されたとき、海外メンバーたち と仕事をしたとき、そして500人の部下を抱え、巨大プロジェクトをまとめている いま――。残念ながら、資金や時間が潤沢にあったことも、トラブルなくスムーズに 仕事が進んだことも、人材が足りていたことも、一度たりともありませんでした。 一方で、外資系企業において「プロセス」は一切考慮されません。要は、結果を出 すか出さないかです。
「一生懸命頑張ったのですが、時間が足りませんでした」
「要員が足りないので、それはできません」
こうした言い訳は通用しません。たとえ1カ月後にサービスが開始されるシステム に今日の段階でシステムのバグが100個あったとしても、サービス開始が決まって いるのであればそこに間に合わせるのがプロの仕事です。少なくとも、私はそういう 気持ちで仕事をしてきました。2軸思考にたどり着いたのは、そんな「問題が山積している超困難なプロジェクト 現場」での経験からです。
あらゆるトラブル・問題に遭遇し、チームのメンバーと一緒にどうにか乗り越えて いく経験を積み重ねるうちに、次のことがわかりました。それは、
・問題は、シンプルにしないと解決できない
・問題は、書き出すことで解決が速くなる
ということです。複雑な問題をシンプルに「構造化」し、書き出して「見える化」する。このたった 2つのことを満たしていれば、あらゆる問題は解決することができるのです。デカル トは「困難は分割せよ」と言い、ビル・ゲイツは「問題は切り分けろ」と言いました。 そして、レオナルド・・ヴィンチは「シンプルさは究極の洗練である」という言葉 を残しています。これらは、あらゆる仕事において真実です。
2本の線を引くだけで、複雑な問題をシンプルに解決できる
日々発生する問題を解決するためにいろいろな方法を試し、試行錯誤した末に行き 着いたのが、「あらゆる問題を、タテとヨコの2軸で整理して考える」という方法で した。私はこれを、「2軸思考」と呼んでいます。
2軸思考は、世界一シンプルなフレームワークです。タテとヨコの2本の線を引く だけで、あらゆる問題を一瞬でシンプルに整理し、解決できる魔法のようなツールで す。実際、メンバーが行き詰まっている問題を2軸でシンプルに整理してみせると、 「ぽかん」とされたり、「目からウロコです」と言われることが多くあります。2軸でシンプルに整理すると、その問題の重要なポイントがクリアになるので、重 要なポイントに集中して深く考えることができるようになります。その裏返しで「重 要でないこと」も明確になるので、考える必要のないことは切り捨てることができ、 解決までのスピードが速くなります。
そして、2軸思考の何よりのメリットは、難しいノウハウは一切必要ないというこ とです。生まれつきの頭の良さや仕事経験なども関係なく、誰でもすぐに実践するこ とができます。2本の線さえ引ければ、「3C」とか「PPM」のようなコンサルタ ントが繰り出す小難しいフレームワークを覚える必要もありません。「フレームワークが使えない」と思っている人にこそ有効 本書は、次のような悩みを抱える人のお役に立てると思います。
・ 「ロジカルシンキング」や「フレームワーク」が大事なのはわかっている。でも、現実の仕事を前にするとどう使っていいのかわからない
・ 考えるのが遅い。いくらビジネス書を読んだりセミナーを受けたりしてみても、考えるスピードが速くならない
・「早く問題を解決しろ」と言われても、考えるには時間が必要だと思っている
・複雑なことをわかりやすく説明するのが苦手。話が長くなってしまう
・ マネジャーになってから一気に解決すべきタスクが増えた。部下からも相談を受けるが、問題が増える一方でどうしていいかわからない私が社会人になってからの15年間を考えても、ビジネスの環境は驚くほどのスピードで変化しました。ひとつのプロジェクトのスピードが格段に上がり、個人のタスクも私たちが浴びる情報量もどんどん増えています。
このような時代にこそ、「いかに速く、いかに深く考えられるか」が成果を大きく左右します。ある問題に直面したときに、「問題に対して単に思いつきで対処する人」と「問題をロジカルにシンプルに整理して解決する人」とでは大きな差がついていくのが、いまの時代なのです。
2軸でロジカルに考える習慣を身につけると、早い人で1週間、そうでなくても1カ月後には、あなたの周りの複雑な問題をシンプルに整理できるようになり、忙さ やイライラから解放されるはずです。
これからの時代は、過去に例のない問題が増えていきます。しかし2軸でロジカルに考えれば、もし過去に経験したことのない大きくて複雑な問題がやってきたとしても、いままでよりもずっと短い時間で本質的な解決を導き出すことが可能になります。 そして、感覚や思いつきで仕事をするようなことはなくなります。
12/1前後には書店の店頭に並ぶ予定です、よろしければお手にとって見ていただければと思います。
ゲラチェック中・・・
こちらのブログ、かなりの期間滞っています・・・。
自分の本業の責任範囲が増えたことと、2冊目の本の仕上げの時期が重なったことで、他のことになかなか時間を割けなかったためです。。。
と、言い訳をしてみる。。
さて、2冊目の書籍、現在ゲラチェック中です。
ロジカル・シンキング、フレームワーク思考チックな本を書いています。
11月末、発売予定です。
もう少し時期が近づいてきたら、もう少し紹介させていただきたいと思います。
また、そちらの仕事がひと段落したら、こちらのブログも頻度を上げたいと思っています。
リーダーの理想は暇になること。そして、暇になったら忙しくなる。を体現してみた。
このブログ、本当に久しぶりの更新で、ほぼ1ヶ月ぶりの更新となります。
この間に何があったかというと、
これまで13チーム、300人を担当していたのが、20チーム、500人に増えたのです。
リーダーの理想は暇であること、が私の理想のリーダー像です。
そのために、いろいろとやってきて、ここ最近、随分と落ち着いた状況になってきていました。
そこで、、、です。
いろいろな外的要因もたまたま重なったのですが、自分の担当する範囲が広がることになりました。
ということで、ここ、約1ヶ月ほど、このブログを書く時間が取れませんでした。 ちなみに、上海出張帰りの成田空港からのバスの中で書いています。
新しい体制の立ち上げのため、(ちなみに、今回は大きく体制が変わったので、 いろいろなことを再立ち上げすることになっています)、 月並みに言うと、忙しい状況になっていました。
このブログの最後にいくつかブログリンクを貼りますが、
- リーダーの理想は暇になること
- 暇になったら新しいポジションを与えられ
- そこで忙しくなる
だと、私は思っています。
本当に、暇になることがリーダーの目標で、暇になったらそのままでは成長はなく、新しいチャレンジに放り込まれ、また忙しくなる、というスパイラルだと思います。
リーダーシップに関する参考記事はこちら
若手リーダーに向けた仕事の心得
6月中旬から7月末にかけて、あるチームの状況が芳しくなかったので、直接、マイクロマネージメントをしていました。
その期間、そのチームのリーダーの育成もしていました。こうした方がいい、こうすべきだ、こうしてはダメだ、など多岐に渡ることを伝授してきました。
そのクリティカルの状況を抜けたので、そのリーダーには、私から言われたことを再整理して振り返って見直した方がいいよ、と伝えたところ、Excelで整理してきました。
今回は、箇条書きですが、その内容を列挙したいと思います。
今後のブログで、ひとつづつ書きしたためていこうと思っています。
まずの今回は、列挙です。
計画
【作業計画】
WBSで管理。作業の全量を捉えて全てのタスクを管理し、発生したものは都度追加していく。 (MECE・階層構造を意識する)
作業者のスケジュールにバッファは入れない。
計画に意思をこめる。(作戦、戦略、思い等)
実行
【報告資料作成】
定量的な情報とそれに対するコメントを添える。
定量的な情報の纏めは機械的に集計できる仕組みを最初に構築する。
報告資料は見やすく、報告ポイントや前回との変更点を明確にする。
【報告】
結論を先に話し要点を纏めて簡潔に説明する。
報告対象の相手により報告内容のレベルを変える。
【進捗管理】
メンバーとの会話を増やすことで状況を正確に把握し問題点に対する早期発見・解決を図る。
状況や人に応じてトレースの頻度・粒度を変える。
空いている席に座るなどメンバーとの距離を近くする。
ホワイトボードを利用し状況を可視化し共有できるようにする。
【リーダー振る舞い】
どんな状況であっても平常心、暗い顔は見せない、声を張る。
メンバーのモンキーは持たない。その場で判断しメンバーにやらせる。(アイドルタイムを無くす)
関係者を巻き込んで最善の策を検討する。
【チーム育成】
チームとしての目標や意識することを何度も繰り返し伝える。
PCR・障害対応において経験のないメンバーをアサインする。
有識者は作業からレビュー重視に転換しレビューを強化する。
チームメンバーのモチベーションを上げるようメンバー個人毎のアクションをとる。
その他
PDCAはPDに対してCAを行い、振り返りのスパンを早め改善点があれば即改善する。
対外的な人との約束についてはエビデンスを残す。
口頭での説明ではなく絵を描いて説明する。
本などにより基礎を学ぶ。(PMBOK、ビジネススキル等)
メンバーの年間稼働状況を把握し総合的な判断でコントロールする。
あなたのチームがジャングルで迷ったらどうするか? ~リーダーシップとマネジメントの違い
想像してみて下さい。
あなたは10人のチームのリーダーです。
あなたのチームは、ジャングルの中で道に迷ってしまいました。
ぱっと見回してもうっそうと覆い茂る木々や草ばかりでどっちへ進んでいいのか分かりません。少し歩きまわっても状況はまったく変わらず、どこにいるか、どこへ向かうべきかまったく分かりません。
あなたのリーダーとしてミッションは、チーム全員で無事にこのジャングルの中から脱出することです。
さて、リーダーであるあなたは何をしますか?
リーダーであるあなたは、
■リーダーシップ
■マネジメント
というものをそれぞれ駆使して、チーム全員でジャングルの外へ脱出しなければいけません。
混同しているリーダーが実に多いのですが、まず最初に、リーダシップとマネジメントは異なる別のものということを言っておきます。
このふたつは明確に違うスキルで、チーム状況に応じて使い分けをしなければいけません。
さて、このジャングルから抜け出すためにリーダーがやるべきことを順を追って説明しましょう。
図にするとこのようなイメージです。
これらのうち、①、②、⑥の青字がリーダーシップで、②、③、④のオレンジの字がマネジメントです。
リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーがまず最初に行うべきことは、
① ゴールを設定する
です。どこへ向かうべきか決まっていないチームはまずゴールを設定しないといけません。
そしてゴールを決めたら次は、
② ゴールまでの道を定める
必要があります。ゴールまでの最短距離を進むのか、リスクがありそうなエリアを特定し、そのエリアを迂回する道を進むのか、決めるのはリーダーです。
ここまでが『リーダーシップ』と呼ばれるスキルエリアです。
さて、ゴールとそこまでの道を決めたらその次は、
③ いつまでにどこまで、どうやって進むかの計画を立てる
ことをします。いわゆる、作業計画、プロジェクト計画などと呼ばれるものです。
そして、その計画を実行するための組織(チーム)を組閣するため、
④メンバーの役割分担を決め、チームを作る
ことを行います。
チームが計画に沿って進みだしたら、
⑤計画通りに進んでいるかを確認し、計画通りでない場合はアクションを実行する
ことを行います。いわゆる、進捗管理です。
これら③~⑤が『マネジメント』です。
このように計画に沿って進捗管理をしてゴールまでの道を目指します。ですが、途中、いろいろな困難に遭遇すると思います。チームメンバーのモチベーションが下がり、チーム力が低下することがあります。
そのときに行うのが、
⑥ゴールまでチームを引っ張る、チームを鼓舞する
です。
これは『リーダーシップ』です。
これらを簡単にまとめるとこのようになります。
リーダーシップとは、
● ゴールを決める
● 道を定める
● チームを引っ張り鼓舞する
を行い、
マネジメントとは、
● ゴールまでの計画を立てる
● チームを組閣する
● トラッキングとコントロール
を行います。
次のように例えられることがあります。
● リーダーシップ ⇒ 方位磁針
● マネジメント ⇒ 時計
リーダーシップとマネジメントを使い分けよう
このように、リーダーシップとマネジメントは異なるふたつのものです。
リーダーがチームを任されたとき、リーダーシップとマネジメントの2つのスキルを使わなければいけません。
では、どちらをどれくらい使うのか?
それは完全にチームの状況に応じます。プロジェクトの立ち上げ時にはリーダーシップでチームの目標を定めつつ、計画を立案しなければなりません。
プロジェクトが順調に進んでいるときは、進捗トラッキングが主な仕事になります。しかし、ひとたびトラブルが発生するとリーダーシップを用いないといけない局面がやってきます。
どの局面でどちらのスキルを使うのかを意図的にコントロールすることが重要です。
バランスです。
ということを考えると、人によって、得意なエリアが違うと思います。マネジメント系が得意なリーダーと、リーダーシップ系が得意なリーダーがいると思います。
今時点、自分がどちらが得意か、どちらのスキルを伸ばさないといけないのか、を見定める必要があると思います。
どちらかだけでは、成果を出すリーダーにはなれません。
リーダーにおすすめする本
リーダーにおすすめの本をこちらの記事で紹介しています。ご参考までにどうぞ。
休みを取るのもプロの仕事のうち
今週、まさにお盆の時期に入っていて、通勤電車の人も少なく快適な通勤時間を遅れています。
なお、私は、8月の前半に夏休みを取ったので、リフレッシュして快適な通勤をしています。
さて、その休みですが、
「忙しくて夏休みが取れないよ」
と、自慢気に語る人がいます。そのような人の中には、自分が忙しいということに酔っている人が多いのだと思います。
実は、これって、プロフェッショナルを意識すると、やめた方がいいことだと私は思っています。
プロならば、仕事が忙しくても都合をつけて休みを取るべきだと思います。
それが、家族がいる人ならば家族のためにもなりますし、自分自身のリフレッシュにもなります。
もちろん、プロジェクトの大切なマイルストーンが8月に設定されているから、などという理由で8月に休みを取れないこともあるとは思います。そのようなときは、時期をずらしてでも休みを取った方がいいです。
休みは必ず取る、休むときは休む、ということもプロの仕事のうちだと思います。
自分の役職が上であるほど、きちんと休みを取るべき
どのような人もプロとして、休みをとるべきだと思っていますが、特に、役職が上である人は、より意識した方がよいでしょう。
上の人間が休みを取らないと、企業文化によっては下の人間が休みをとりづらいということもありますし、上の人間が積極的に休みを取ることで、下の人間もそれをリスペクトするようになります。
このようにポジションが上の人の行動は、休みの取り方ですら組織に影響をもたらします。
ワークライフバランスとは・・・
休みの話をしたので、ちょっとここでワークライフバランスについても語ってみます。
私の考えるワークライフバランスは、時間のバランスではありません。 ワークライフバランスを保つために、平日の残業時間を少なくして、夜の時間を自分のプライベートな時間に割り当てる、ということを言われることがよくあります。
私の平日は、朝から夜までフル稼働です。
では、
「ワークとライフのバランスは取れているのか?」
と、言われると、
「取れている」
と答えられます。
私の考えるワークライフバランスは、時間ではなく気持ち、メンタル面でのバランスが取れているか、というところをポイントにしています。
私の平日は仕事をしっかりしています。ですが、休日は基本的には仕事をしません。休みの日は、自分のプライベートのための時間です。
一週間でみたときの、仕事とプライベートの時間のバランスは全く取れてませんが、気持ちの面ではどちらも充実しています。
ワークライフバランスを何のポイントでバランスとるのか、自分なりのポイントを見つけるのがよいでしょう。
キャリアコンパスに記事が掲載されました 〜手書き推奨記事
キャリアコンパスに記事が掲載されました。
デジタル全盛の時代に、手書きアナログ派な記事です。 個人的にはかなり手書き推奨派なのですが、なぜか珍しがられて取材を受けたりします。
記事のリンクを貼りましたので、ご興味あればご覧下さい。
仕事を速くするのに役に立ったビジネス書5冊!
私自身が仕事を速くする本を書きましたが、その私が自分の仕事を速くするのに役に立ったビジネス書を紹介します。
『なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣』
(ケリー・グリーソン:著、楡井浩一:訳/PHP研究所)
「やる仕事が多く、時間が足りない。もっと効率的に仕事をするにはどうすればいいのか?」という万国共通のビジネスパーソンの悩みの解決策を具体的に記している本です。世界15カ国で売れているベストセラー。
机の整理術、ファイルのまとめかた、書類・メール・電話の処理法、他人に仕事を任せる心得など、今すぐ真似できるスキルやノウハウを紹介しています。この本を読んだあとは、まずどれかひとつでもやってみることがポイントです。
今の仕事に役立っている他のアドバイスもいくつかあります。
『先延ばしにしない技術』
(イ・ミンギュ:著、吉川南:訳/サンマーク出版)
これは私がまだ「仕事をスピードアップするとミスにつながるのでは?」「仕事が速いことは重要なこと?」と思っていた頃に、仕事が速くて判断力もある役員の補佐を務めて、自分もスピードを追求してみようと思った時期に読んだ本です。
ひと言で言うと、「今すぐやりなさい」という内容です。平凡な人とデキる人の違いは、すぐやるかやらないか。
本書で強く印象に残っているのは、「速く決めて、速く動く」「一度で終わらせる」などの行動指針です。「先延ばしにしない」ことでのメリットが実例に沿って語られているので、自分もやってみようという気持ちになり、実践したことで確実に効果を得られました。
『1分間マネージャーの時間管理』
(ケン・ブランチャード、ウィリアム・オンケンJr、ハル・バローズ/パンローリング)
私が若手リーダーに必ず奨める本です。リーダーの必読書と言っても過言ではありません。
リーダーである自分はめちゃくちゃ忙しいのに、ふとメンバーを見るとそんなに忙しくなさそうで早々に帰っていく……というのは、新任リーダーにありがちな光景です。新任リーダーだけでなく、チームの成果がいまひとつ出ていないリーダーがよく陥っている状況でもあります。
その状況を打開するために、この本では 「部下の仕事は部下にやらせろ、リーダーはリーダーの仕事をしろ」と言っています。仕事を「サル」にたとえて、それが「あなたが世話をするべきサル」なのか、「他人が世話をするべきサル」なのかと問いかけるなど、自分と他人がやるべき仕事の境界線をはっきりさせるコツがわかりやすい本です。
『アメリカ海軍に学ぶ最強チームのつくり方 一人ひとりの能力を100%高めるマネジメント術』
(マイケル アブラショフ:著、吉越浩一郎:訳/三笠書房)
自分のチームを強いチームに育てていくのは簡単ではありません。今日、明日で即効的な効果が出るものではないですが、早ければ数カ月でチームが育ち、チーム全体の仕事が速くなります。同時に、リーダーの仕事は格段に減っていくのです。
そのために必要なエッセンスが凝縮されています。
海軍一のダメ軍艦に配属された艦長が、成果の上がらない組織を立て直し、柔軟で自主性にあふれる「強いチーム」をつくり上げたストーリーです。海軍がテーマということで、ビジネスとは関係ないのかな? と思って読みはじめましたが、まったくそんなことはなく、むしろすべての内容に納得と感動の連続でした。初めてリーダーになる人から、大きな組織のリーダーまで参考になることが多い本だと思います。
『考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則』
(バーバラ ミント:著、山崎康司:訳/ダイヤモンド社)
これは5冊のなかでもかなり難易度が高いのですが、ビジネス書の名著として広く読まれているベストセラーです。タイトルは『考える技術・書く技術』となっていて、章立ては「書く技術」から始まっていますが、私は「考える技術」の本だと捉えています。なぜなら明晰な文章を書くためには、明快な論理的思考が求められるからです。
ここまでの4冊とは違って即効性はありません。身につけるのに時間がかかります。
ですが、この「考える技術」を身につければ、物事を論理立てて考える思考力と思考のスピードが身につき、3年後、5年後、10年後にライバルと大きな差を付けらることは間違いありません。
読んだら実践してみるべし
興味が湧いた本があったら、ぜひ手に取ってみてください。
そして、まずは愚直に実践してみてください。
実践なくしては身につきません。また、自分に合う合わないもやってみないことにはわかりません。
まずは読んだら実践してみましょう。