言ってはいけない! 「即断即決」をできない人の口グセ

仕事には、個人でする仕事とチームでする仕事があります。自分の仕事をどれだけスピードアップしても、チームのスピードがあがるとは限りません。

チームのスピードが遅くなる一番の要因は、人と人の間で発生する待ち時間です。チーム内にあるムダな時間であり、私はこれを何も動いていない時間という意味で「アイドルタイム」と呼んでいます。メンバー全員の仕事が速かったとしても、アイドルタイムが多ければチームのスピードは遅くなります

アイドルタイムはリーダーとメンバーの間、各メンバー間の作業と作業の間に発生します。決定事項をリーダーがメンバーに伝達するのが遅い。メンバー間の情報伝達が遅れ、作業に着手できなかった……。こうした時間を限りなくゼロにすればチームのスピードはアップします。

チームの中で「アイドルタイム」が最も発生しやすいのが、「決める」という場面です。仕事は誰かが決定しないと、次に進みません。これはひとりでする仕事も同じですが、チームでする場合はなおさら影響が大きいのです。

10人のチームであれば10人、100人のチームであれば100人が次のステップに進めずに立ち往生してしまいます。決めるのはリーダーだけではありません。メンバーが何人か集まってやる仕事もありますし、リーダーとメンバーの関係でなくても、後輩と一緒に仕事をするときに何かを決める、ということもあります。チームで仕事をするときは、「即断即決」を意識することが欠かせません。

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ところが実際には、即断即決が苦手な人は少なくありません。そういう人は、常日頃からチームのために即断即決をする意識が乏しく、知らず知らずそれが「口ぐせ」にあらわれています。

即断即決を阻害する5つの口グセがあります。

情報が十分にそろっていない

即断即決できないパターンで一番多いのが、情報が不十分という理由です。時間をかければかけるほど、何かすばらしい理想のものができあがるのではないかという期待を抱いている人が陥りがちなパターンです。

ビジネスで情報が十分に集まることは永遠にありません。集まった情報から、思考して、未来を予測し、そして決めなければいけません。

責任が重い……

ビジネスには絶対的な正解はありません。十分と思えるほどの情報が集まったとしても、正解はないので、導き出した答えが合っているかどうかはわかりません。いつどんな状況であれ、決めたことには「あれでよかったのかな?」と不安がつきまといます。

決められない人は「この判断が正しいかわからない」「成功するかわからない」と臆してしまいます。答えがないのだから、成功するとしても失敗するとしても、いつか、どこかで決めないといけません。であれば、早く決めましょう。

もうちょっと考えさせて

「決めないから、前に進まない、チームが動かない」ということを理解していないパターンもあります。そういう人はたいてい、「もうちょっと考えさせて」とか「今は決められない」と言います。時間をかければよりよい解が見つかると信じているようです。

「時期尚早と言う人間は、100年経っても時期尚早と言う。前例がないと言う人間は、200年経っても前例がないと言う」

これは私の好きな言葉のひとつです。Jリーグの初代チェアマンである川淵三郎さんがJリーグの創設時に「時期尚早」とか、「前例がない」と反発を受けたときに、発した有名な言葉です。これは私が高校生のときに聞いた言葉ですが、いまだに脳裏に焼き付いていて、仕事をする上で強く意識していることでもあります。

決めなければ何も動きません。早く決めれば早く動き出すのです。プロジェクトのタスク状況を可視化するために、「ホワイトボードでやるか、模造紙でやるか、みんなで集まって決めましょう」という場面も経験しました。 とにかく、何が何でも、即断即決をしましょう。

持ち帰って確認します

ミーティングに出ると、自分の担当ではない分野の話になることがあります。その場では回答できないため「持ち帰って担当メンバーに確認します」という対応になるでしょう。自分がわからないことは、その場で回答せずに持ち帰ること自体は正しいです。間違った回答をしてしまってはダメですからね。

ですが、持ち帰って確認すると、ミーティングの後に「確認」と「報告」という2つの時間が必要となります。このようなときは「持ち帰り」をせず、ミーティング中にメールを送ることで時間短縮をします。

ミーティング中にメンバーにメールを送っておくことで、数十分速く動くことができ、場合によっては、ミーティング中に確認した結果がメールで返ってきます。そうするとミーティング中に報告することができ、持ち帰りはなくなります。

私は極力持ち帰り仕事を少なくしたいので、本当に至急の案件の場合はメールタイトルに一言入れます 「【至急】XXの件 確認お願いします」としておけば、すぐにメールを確認してもらえる確率が上がります。

さらに、CCに、そのメンバーの周りに座っている人を入れておき、「CC各位、このメールを見たら本人に伝えてください」と書いておきます。そうすると、本人がメールに気付いていなくても周りの人が伝えてくれて、すぐに対応をしてもらえます。

私のチームでは、私がいつもこういったオペレーションをしているので、私からのメールは優先的に確認し、すぐに返信してくれます。私が中国・大連に出張に行っていたとき、大連チームとミーティングをしている1時間の間に、日本チームと3往復くらいメールのやりとりをしたこともあります。持ち帰りゼロで、その1時間の間にすべてを片付けました。ミーティングで発生したことはミーティング中に片付けるとぐっとスピードがあがります。

とりあえず、こうしよう

すぐに決めることは大切ですが、その決定が中途半端だと逆効果です。「とりあえず、こうしよう」とか「いったん、そうしましょう」という会話がかわされます。私は、「とりあえず」「いったん」というこの2つの言葉は禁句として、使わないようにしています。この2つの言葉は、仮で仕事をする、暫定的な仕事をするという意味合いがあるからです。

なぜ、仕事を「とりあえず」やってはいけないのか。それは、「暫定的」「一時的」な仕事は、その後でいずれ仕上げの作業が必要になるからです。これは時間のムダです。一度始めたら最後までやる。中断はしない。これが、効率的に仕事を進めるコツです。

また、ひとつの仕事を中断すると、再開するときに「あれっ? どこまでやったっけ?」といったことを考えるムダな時間も発生します。つまり、時間があいたことによって、効率も悪くなり余計に時間がかかってしまうのです。中断をなくすのは無理だとしても、仕事は一発で仕留めるという心持ちでやるようにしましょう。

私はもしメンバーから「いったん○○します」と言われたら、「"いったん"ってどういうこと? どうして仮でやるの?」と問いただします。

とはいっても、本当に意図的な「仮の対応」が必要な場合ももちろんあります。そういうときはあえて「いったん」であることを強調します。