『孫子』が説くリーダーの五つの条件

久しぶりに『孫子の兵法』の本を読み返しています。『孫子の兵法』に関する本はたくさん出ていますが、私が読んでいる本はこちらです。

孫子の兵法がわかる本―“生きる知恵”の最高のバイブル (知的生きかた文庫)

孫子の兵法がわかる本―“生きる知恵”の最高のバイブル (知的生きかた文庫)

私はこれしか読んでいないので、他の本と比べてどう、とかいう評価はできません。
ただ、この本について言うと、まず原文とその訳が書かれています。そして、著者の解釈と歴史上の出来事とを絡ませて解説しています。加えて、現代のビジネス観点での解釈も時折あったりして、とても読みやすく理解しやすい本だと思います。

本についてのコメントはこれくらいにして、今日の朝の電車の中で読んでいて将(リーダー)に必要な『五つの条件』のところが印象に残ったので紹介します。

将トハ、智、信、仁、勇、厳ナリ
[訳]将軍とは、智、信、仁、勇、厳のご条件を満たす人物でなければならない。

ここでは本に書かれている解釈を紹介してもしょうがないので、私の解釈を書こうと思います。

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知識の意味しています。似たような言葉に『明』というのがあって、それは天賦の才のような意味があるようですが、『智』は学んで身に付けるものです。 リーダー足るもの、勉強して知識を付けないといけないということです。
今のビジネスでいうと、リーダーシップを学ぶとか、チームマネジメントを学ぶなどです。 自分のチームのリーダーが、学びもせず、勘と経験と度胸で仕事をしていたら、ついていきたいとは思わないですよね。

人生、日々勉強です。リーダーとなったら、より意識して学ぶようにしましょう。みんなが見ています。

ウソをつかない、約束を守るというのを『信』と言っています。 二枚舌を使っていてはメンバーをついてきません。相手によって言うことが変わったり、状況を見てコロコロ態度を変えるような『日和見』なリーダーは尊敬されません。

ただ、ビジネスはあっという間に状況が変わってしまうことが多々あるので、最初に決めたことに固執し続けることを推奨しているわけではありません。 判断が誤った、状況が変わったから判断が変わった、というように『朝令暮改』をすることも大切なのです。判断は速ければ速いほどいいのです。

ウソをついて判断を変えるのではなく、信念を持って判断を変える、というのはメンバーも分かるものです。

メンバーに対する思いやりです。 一見、優しいとかメンバーの声を聞いてくれるとか、そういった表面的なことではないと思っています。

メンバーのキャリアのことを考えて仕事をアサインするとか、メンバーの家族のことまで考えて休暇を推奨するとか、メンバーの人生が豊かになることを支援することだと思っています。

勇気、決断力。勇気には『前に進む勇気』と『引く勇気』があります。引くにも勇気が必要なのです。

できないと思われることを、すぐに「できません。」という人物には価値はありませんが、できる算段も見いだせていないのに、玉砕覚悟で突っ込むのもいけません。特に、仕事上で「引く」となると、その理由を説明し、説得しなければならず、それはそれで手間と時間のかかるものですが、引くときもそれなりの覚悟を持たないといけない、ということです。

リーダーは、大なり小なり判断を日々求められます。『決める』ことがリーダーの仕事のひとつです。責任を持って決めるようにしましょう。

甘い態度ばかりをとっていると、統率力が欠けてしまいます。メンバーの相談を聞き過ぎると、組織としては甘い判断となってしまいます。 厳しい態度でメンバーと対峙することもチームを率いるには必要なことです。

細かいところでいうと、会議の時間に遅れたら指摘をする、会議室に入れさせないとか、報告資料が期待値に達していなければ話すら聞かないとか、リーダーがチームに求めるハードルを明確にして、そのハードルを下げてはいけません。

厳しい側面を出すと、メンバー間で愚痴を言い合ったり、メンバーから嫌われることすらあります。 ですが、それを避けるためにメンバーにとって都合の良いことばかりを採用してはいけません。

組織として成果を出すならば、リーダーは嫌われる仕事もしないといけないのです。

仁と厳は、相反するものです。このふたつのバランスを取ることが組織を統率する鍵となると思います。

参考記事

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