パソコンテクニックの習得のススメ ~成果を出すための必須条件

パソコン作業を最小限にする理由は仕事で成果を出すため

 私のキャリアは、システム開発のプロジェクトマネージャーが中心でした。新卒で社会人になったときは、ITエンジニアとしてスタートしましたが、3年目でプロジェクトマネージャーとなって以降はほぼずっとプロジェクトマネージャーを担ってきました。

そして、その中でも、トラブルプロジェクトの火消しPM、といったことが大半を占めてきました。ちょっとしたトラブルプロジェクトの火消しではなく、大爆発・大炎上しているものばかりでした。

 一番のトラブルプロジェクトは、クレジットカードの基幹システム構築のプロジェクトで、システム開発のトラブルとしては世界最大規模であったと思います。その中で、ピークでは500名、20チームほどのプロジェクト体制をリードしてきました。

 大炎上しているトラブルプロジェクトでは、スケジュールがタイトとですし、とにかく仕事量が多いものです。そういったプロジェクトのリーダーとなると、多くの会議に参加しなければならず、メンバーからの相談や報告といったコミュニケーションも非常に多くありました。そのような中でも、お客様への報告資料や提案資料、社内への報告や説明資料を作成しなければならないですし、一日に何百通と来るメール処理もしなければなりません。  

さて、私が仕事で最も重要だと思っていること、それは「考えること」です。

仕事で成果をあげる、周りから頭ひとつ抜け出る、そのために必要なことは、考えて考えることです。ビジネスパーソンが、周りと差別化するための武器なのです。

 ですが、会議やコミュニケーション、資料作成、メール処理などに多くの作業に忙殺されてしまっては、「思考」の時間を作ることができません。

 私が経験してきた大炎上トラブルプロジェクトでは、多くの問題や課題がありましたし、日々、新たな問題が発生している状況でした。そのような状況においては、それらの問題や課題に対して、どのように対処していくか、ということを考えに考えて判断・決断する、ということが量とスピードと質ともに求められていました。

 つまり、会議や資料作成などの時間に忙殺されてしまっていては、本当に価値の高い「考える」という時間を失ってしまうのです。そのようになってしまうと、大炎上のプロジェクトの火消しは到底できませんし、トラブルプロジェクトでなくても、仕事での成果を上げていくことはできません。

 なぜ、パソコン作業を最小にするかというと、仕事で成果を出すためなのです。

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パソコン作業は不毛な時間

 同僚がパソコンの前で一生懸命に仕事をしているのを見て、
「あいつ頑張っているな、俺も頑張らないと」
と思うことはないでしょうか。

逆に、パソコンを使わずにぼーっとしているような仕草を見て、
「こっちは忙しいのに、あいつは何をやっているんだ」
と感じたことはありませんか。

 また、上司の人は部下がパソコンの前で一生懸命に何かをやっている姿を見て、
「よしよし、あいつも一生懸命頑張っているな」
と、安心したことはないでしょうか。

 私は、パソコン作業は不毛な時間だと考えています。パソコン作業自体に価値はありません。

 もし、一日中、パソコンで資料作成やメール処理で忙しくして、今日も忙しかったと満足しているとしたら。お客様への提案資料作成に8時間もかけていて、仕事をした気になっていたとしたら、それは少し危険かもしれません。

パソコン作業がもっともっと速かったら、もっと他のこと、もっと付加価値の高い仕事に時間を使うことができ、より成長し、より大きな成果を出すことができるかもしれません。

 パソコンの作業時間を極限まで速くして、価値の高い「考える」という仕事の時間を多く捻出しましょう。  

パソコン作業とは単にデジタル可視化をしているだけにすぎない

 では、パソコンで作業をするということはいったどういうことなのでしょうか?

 パソコン作業とは、思考のデジタル可視化作業です。

 頭の中で考えたことを、パワーポイントの資料やメールなどでデジタルに可視化する、という作業なのです。
 「デジタル」といっているのは、手書きや口頭のアナログで可視化をすることもできますが、パソコン上のソフトでデジタルファイルとして可視化する、ということです。

 メールの場合だと、まず、メールを書くということは、相手に何かを伝えたり、依頼をしたりするときに行います。つまり、頭の中で考えたことをメールというデジタル伝達媒体に書き込み、送信する、というパソコン作業を行います。メール返信も同じです。受信したメールを読み、理解し、考えた結果をメールに書き込み発信します。どちらにせよ、「考えた」ことをデジタルという媒体で相手に伝えるのです。

重要なことは、デジタル媒体に打ち込むことではなく、自分が「思考」した内容なのです。

 いまこの瞬間、私はこの記事をブラウザに書いています。パソコン作業としてブラウザにキーボードを使ってタイピングしながらデジタルの活字にしています。ですが、その活字にする内容の源泉は私の頭の中にあるのです。頭の中で考えたことを、ブラウザというデジタルソフトにキーボードやマウスといったパソコンを使ってアウトプットしている、ということになります。

 このパソコンの作業が短ければ短いほど、「考える」という時間を増やすことができます。

 パソコン作業は何かというと、思考した価値のある情報をデジタル情報として可視化する作業である、ということで、そこに大きな価値はありません。ということは、その価値の高くない作業を限りなく速くして、できるだけ短い時間で終わらせたいのです。

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一番価値のあることに時間を使おう

 ビジネスパーソンが成果を出すためにいちばん大事なことは考えることだと思います。すなわち、思考。この思考の時間をどれだけ多く作れるかが、大きな成果を出せるかどうかのポイントです。

 5分でも10分でも思考の時間が増えるとそれは大きな時間です。

 試しに、いまから5分、ひとつのテーマで考え続けてみてください。

 結構いろいろなことが考えられるのではないでしょうか。頭の中で5分考えるというのは、相当な時間に値します。

 ということは、パソコンの作業時間を少しでも考える時間に振り返られると、より価値の高い時間を使うことができるということになります。

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たかが3秒、されど3秒 ~突き詰めるほど仕事が速くなる

 パソコン作業をできるだけ短くして、最小限にする。そのためには、ショートカットキーを覚えて使うことから始まります。

 代表的なショートカットにコピー(Ctrl+C)があります。このコピーという作業をマウスでするか、ショートカットキーでするか、を比べるとたかだか3秒しか変わりません。

 この3秒をたかが3秒と思ってショートカットなどのパソコンテクニックを習得するのをやめるか、これを第一歩として多くのテクニックを身につけるか、この差はとてもおおきなものになります。

 この3秒は大きな差の第一歩です。コピー&ペーストで6秒。その作業を10回すれば60秒、つまり1分です。その他のテクニックを積み重ねるとあっという間に数分の差が生まれます。こういったテクニックの積み重ねが大きな差となってきます。

 例えば、Excelでデータ量の多いものの分析をする場合、速い人であれば5分、遅い人であれば30分、一時間とかかってしまうこともあります。実際に、私も自分でやれば5~10分くらいかなぁ、と思うExcel作業をメンバーにお願いしたときに30分くらいかかりそうです、と言われることもよくありました。

 このようなテクニックを突き詰めていくとどうなるか、というと、単にその積み重ねの時間だけが速くなるのではなく、指数関数的に速くなっていきます。

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 私がこれまで見てきた仕事の速い人はみんな同じ傾向でした。ショートカットやパソコンのテクニックもたくさん使っていましたが、単にその積み重ねだけではない速さがありました。

 それはなぜでしょうか。

 ショートカットやパソコンテクニックを突き詰めて行く人は、いろいろな仕事のテクニックにも興味を示し、自分で調べて、習得して身につけていくようになるからです。例えば、「思考」が重要だと言いましたが、「思考」にもテクニックがあります。~~思考法といったものもたくさんあります。パソコンテクニックを極めていくと、そういったものまで身につけるようになっていくのです。これは、パソコン作業が速くなり、成果が出始めてくることで、さらなる向上心が芽生えてくるからだと思います。

 先ほどのExcel作業が30分かかるものを5分でできてしまう、といったこともその結果です。

 単なるパソコンテクニックと思わずに、その先の大きな成果の第一歩としてのパソコンテクニックを身につけていきましょう。

パソコンテクニックが身につくまでは投資の時間

 パソコンテクニックは、簡単なショートカットから、ちょっと慣れるまでには時間がかかるものもあります。すべてのテクニックが、明日から完璧にこなせるものでもありません。

 ですが、身につきさえすれば、差は歴然です。

 しかし、慣れて身につくまでは、一時的にスピードが遅くなることもあります。なぜなら、頭で考えてから手を動かすことが多く、普段から慣れている操作の方が速いことがあるからです。ですが、それを乗り越えて体が反応するところまで使いこなしましょう。

 そこにたどり着くまでの時間は投資の時間と考えましょう。

 昔、私のチームに若手メンバーが入ってきたときは、1週間マウス禁止にしていました。Windowsのパソコンは基本的にはキーボードだけでマウスがなくても操作ができます。その感覚を掴むこと、マウスよりもキーボードで操作することが速い間隔を身につく得ることが目的でした。

 一日目はもちろん、数日間はまったくもって仕事が進みません。マウスなしでどうすればいいのか、さっぱりわからないからです。しかし、それが徐々にわかるようになってきて、1週間経つとそれなりにキーボードだけで作業ができるようになってくるのです。

まだまだ極めたレベルまでは到達はしていませんが、そこでマウスを返してあげると、飛躍的にパソコン作業が速くなります。キーボードとマウスのそれぞれの利点を最大限に活用し始めるのです。

 それ以降は、自分で調べながら、本を読みながら、人のテクニックを盗みながら、どんどんと成長していきます。

 最初はまったくスピードが上がりませんが、それはその後のスピードアップのための投資の時間です。

 ひとつひとつのテクニックの習得のゴールは、体が覚えること、です。頭の中で思い出しながらショートカットを押している段階は、まだトレーニング段階です。考えずとも体が動いているのが習得できた、という状態になります。

これから、このブログでパソコンテクニックについてシリーズ的に書いていきたいと思います。

本日は、その頭出し、ということで。

参考書籍

脱マウス最速仕事術 年間120時間の時短を実現した50のテクニック

脱マウス最速仕事術 年間120時間の時短を実現した50のテクニック

  • 作者:森 新
  • 発売日: 2020/07/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

パソコン[最強]時短仕事術 超速で仕事するテクニック

パソコン[最強]時短仕事術 超速で仕事するテクニック

  • 作者:守屋 恵一
  • 発売日: 2020/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ショートカットキー 時短ワザ大全

ショートカットキー 時短ワザ大全

  • 作者:辻村 司
  • 発売日: 2019/09/19
  • メディア: 単行本