ブレインストーミング(ブレスト)で結果を出すための3つのステップと9つのテクニック
「よし、今からブレストやろう!」という言葉はビジネス現場でよく聞かれます。
ですが、その結果を見ると必ずしもそのブレストが成果のあるものとなっていません。
「みんなで集まったんですが、意見がまとまりませんでした。」
という残念な言葉をよく聞きます。
ブレイン・ストーミングとは、アイディア発想法というジャンルのフレームワークのひとつで、超有名なのでほとんどの人がやったことがあると思います。
みなさんはどのようにブレストをやってますか?
残念ながら、「ただ単に集まってアイディアを出す」レベルのことをブレストと呼んでいるケースがとても多いのです。わたしはそんなブレストを「座談会」と呼んでいます。
ブレストは、アイディア発想法のフレームワークであるので、基本的なお作法があります。
ブレストで結果を出すには、ブレストの基本的なステップとテクニックを知り、それにそって行う必要があります。
また、ファシリテーターの役割も大きな要素となります。
結果の出るブレストとは、混沌とした状況や、いろんな情報が散在した状況において、
状況を整理し
アイディアを出し
次に向けたアクションを決める
ことです。
ブレストは次の3つのフェーズの順に進めます。
準備フェーズ
実施フェーズ
整理フェーズ
ステップ1 : 準備フェーズ
ブレストをやるには準備が必要です。ただ単に集まればいいものではありません。
① ブレストのテーマを決める
ブレストをやるときは大体テーマは決まっていると思いますが、明確に決めるようにしましょう。
集まったはいいけど、「何するんだっけ?」とならないようにしておきましょう。
ゴールが定まらないと、道すじが定まりません。
② ブレストの参加者を決める
ブレストのテーマに沿って参加者を決めましょう。
参加者によって得られる結果は違ってきます。
スキルや年齢、立場など様々な観点で参加者を選んでください。
偏った人選をするとブレストで出てくるアイディアが偏ってしまいます。
不協和音を出すキャラのメンバーをあえて人選するのもテクニックのひとつです。
③ 事前にテーマを参加者に知らせる
参加者にはテーマを事前に知らせておきましょう。
そうすることで参加者は何かしら考えるものです。
ブレストの場で多くのアイディアを出すために、参加者に事前にテーマを知らせて、セルフストーミングをしておくよう促しておきましょう。
④ インフラの準備をする
会議室などの場のインフラを準備することも大切です。会議室の広さ、テーブルのレイアウトも考えておきましょう。
会議室は必ずしも希望の場所が取れるわけではないので、希望通りとならなかった場合は、事前にテーブルやホワイトボードのレイアウトを変えておきましょう。
ペン、ポストイットなどの小物の準備もブレストを円滑に進めるためには必要な準備です。
ステップ2 : 実施フェーズ
さて、ブレストを実施するフェーズとなったときに、次の4つのテクニックが必要となります。また、ブレストを開始する前にまず、⑤と⑥を参加メンバーに予め周知しておきましょう。
⑤ 質よりも量を歓迎する
とにかく量を出すことを至上命題としましょう。
ブレストの目的は、行き詰った状況を打破するアイディアを出すことにあります。普通に考えても打破するアイディアが見つからないからブレストをするのです。
出てくるアイディアがいいか悪いかではなく、とりあえず出しまくるのです。突拍子もないアイディアを歓迎しましょう。
そんな中から状況を打破するアイディアが出てくるのです。
⑥ 否定してはいけない
というわけなので、出てきたアイディアに対して否定してはいけません。
これは、ブレストで最も大切なルールです。
絶対に否定してはいけません。
「そんなのできないよ」とか、「それはもう考えたよ」とか出てきたアイディアに対して否定してしまうと、 否定された方はアイディアを出しにくくなりますし、その場のメンバー全員が出しにくい雰囲気になってしまいます。
否定的なコメントが他の参加者から出たら、それをやめるようにコントロールしましょう。
ブレストはひたすらアイディアを出す場なのです。
⑦ アイディアが出るようにファシリテートする
ブレストも時間が経つとアイディアが出てこなくなります。特に難しい状況に対するブレストであれば、かなり早い時間に行き詰まるときがやってきます。
こんな時が、まさしくファシリテーターの出番です。
- 場が凝り固まっているのであれば、全く仕事とは関係ない話を出したりして、アイスブレイクで和ませるのもひとつ
- あえて誰かを名指しして、意見を求めるのもひとつ
- 自らが新しい観点を投げ込み、波紋が広がるのを助長するのもひとつ
いろんなテクニックがありますが、大切なのは、ファシリテータが場を雰囲気を把握し、アイディアが途切れないよう、的確にブレストをリードすることです。
アイディアが出てこなくなった時点で、「もう他にアイディアはありませんか~?」といってブレストをやめてしまうケースが多いです。
ですが、そこから勝負です。
本当に尖ったアイディアは行き詰ったあとに出てくるものです。
ステップ3 : 整理フェーズ
残念なことに、ステップ2の実施フェーズで終わってしまうブレストが結構あります。
みんなで集まって、意見を出して、”はい、おわり♪”みたいな感じのブレストになってしまっているのです。
ブレストでアイディアが出尽くしたら、最後のひと仕上げをしてください。
これをしないと、ブレストをした意味がなくなってしまいます。ただの座談会です。
⑧ 洗い出されたアイディアをロジカル・シンキングにて整理・構造化する
ブレストで出てきたアイディアは、種種雑多なものが混ざっていて、カテゴリやレベル感も全くあっていません。
ブレスト実施の結果としては、それは構わないのですが、最後にその種種雑多なアイディアをロジカルシンキングにて整理・構造化しましょう。
フレームワークをまだ多く使えないひとは、ロジカルシンキングで重要な2つのフレームワークである、MECEやピラミッド構造だけ使ってください。それだけでもむやみに整理するよりかは、はるかに綺麗に整理できます。
⑨ アクションを決める
さて、ここまで来たらあとはやることを決めましょう。
ブレストで出てきたアイディアをきちんと整理できたら、次にやるべきアクションが見えてくるはずです。
逆に、アクションが見えてこなかったとすると、それはブレストの成果が出ていないということです。仕切りなおして、もう一度やりなおしましょう。
アクションが出てきたならば、
誰が
いつまでに
何をする
という、基本的なToDo管理の世界でやるべきことを進めていきましょう。
ここまできて、やっとブレストの成果が出た、ということができます。
まとめ
ブレストの基本的お作法を紹介しました。
ブレストに対して、このようなアプローチを取ってなかった人は、ぜひ次のブレストで試してみてください。
これまでとは違ったブレストになると思います。
ステップ1 : 準備フェーズ
- ① ブレストのテーマを決める
- ② ブレストの参加者を決める
- ③ 事前にテーマを参加者に知らせる
- ④ インフラの準備をする
ステップ2 : 実施フェーズ
- ⑤ 質よりも量を歓迎する
- ⑥ 否定してはいけない
- ⑦ アイディアが出るようにファシリテートする
ステップ3 : 整理フェーズ
- ⑧ 洗い出されたアイディアをロジカル・シンキングにて整理・構造化する
- ⑨ アクションを決める